本日は、LOVE LIFE FARMさんの小麦の刈り取りのお手伝いに行ってきました!
みてください、この黄金色のきれいな畑を!
こんなに綺麗に見える畑も、LOVE LIFE FARMの金子さんによると、今年は失敗。。。
本来はこのくらいの高さまで育ちます、と教えてくれました。
小麦には、種を秋にまく「秋まき小麦」と、春にまく「春まき小麦」の2種類があって、この畑は春まき小麦の畑。
他の畑仕事でバタバタしていて、種をまく時期が予定よりも遅れてしまったそうです。
そのため、小麦の収穫量は厳しそうだと予測済み。
とはいえ、3月に種をまいて、3か月後の6月にこの大きさなら大健闘!ということで、無事本日の刈り取りに至りました。
麦は、乾燥している状態で刈り取らねばならないので、晴天が2-3日続いた後の、晴天の日が最適。
というわけで本日、38℃快晴です!
この炎天下は、麦にとっては、サイコーの刈り取り条件!
晴天が2-3日続いたあとでもなお、収穫・脱穀した麦は水分量が高いので、すぐに乾燥させないと発酵が始まってしまうとのこと。
刈り取り後、本日中に乾燥までさせないといけないという、スピード勝負です。
バインダーを使って刈り取る人と、脱穀機を操作する人とで役割分担をして、作業開始です。
右側がバインダー、左側が脱穀機です。
バインダーが麦を刈り取ってある程度の量の束をまとめて結んでくれます。
その麦の束を脱穀機に入れると、麦粒だけを取り出すことができます。
熱中症にならないよう、頻繁に水分をとるようにしていましたが、灼熱が降り注ぎすぎて、ステンレスボトルは素手で持てないほど熱いし、飲もうとすると唇も火傷します。笑
順調に刈り進みまして・・・
無事、午前中でこの畑の小麦畑の収穫・脱穀が完了しました!
google mapで算出したところ、こちらの畑の面積は約600㎡。
畑の単位で使う「反(たん)」に換算すると、約2/3反です。
この時点ではしっかり計量できていませんが、入れた袋の大きさから換算すると、収量は約55kgでした。
次に、脱穀した小麦を天日干しします。
機械乾燥が主流ですが、機械を使うにはもっと量がまとまらないと絡まってしうということで、今回は天日干しです。
「何日くらい干すのですか?」と聞くと、「ん---、なんとも言えない。水分量みながらかな」と金子さん。
観察してればわかるよ、と脱穀機に残っていた昨年収穫の乾燥した状態の小麦と、今刈り取った水分をまだたくさん含んでいる小麦を並べて見せてくれました。
左が乾燥した小麦、右が水分を含んでいる小麦です。
何度見せてもらっても違いがわからず、熟練の農家さんの目だからこそわかるものなのかなと思いました。
お昼休憩をはさみ、午後は「手刈りの畑です」ということで、違う小麦畑へ。
小麦、見えますか?笑
よく見ると、雑草に紛れて、生えてます!
こちらは秋まき小麦の畑でしたが、他の畑仕事に追われて種をまくのが遅くなってしまい、寒すぎて芽がなかなか出ませんでした。
通常は、少し芽がでたところで冬を越すのですが、この畑は種をまいてから2か月後に芽が出たため、小麦より先に雑草が育ってしまい、結果として雑草の間に小麦がチラホラ、という状態になってしまったそうです。
先に小麦の芽がしっかり出てある程度の大きさに育てば、小麦自体が日陰を作るので、雑草はそんなに勢いよく成長できません。
種をまくタイミングがずれただけで、こんなに違ってしまうなんて…!
小麦のある箇所を狙って、鎌で刈り取っていきます。
こちらは先ほどバインダーで刈り取った&束ねた小麦ですが、この束に雑草が混ざっていると脱穀機が雑草を噛んでしまいます。
雑草が混じっていると、脱穀機が使えないので、雑草がメインのこちらの畑は手刈りせざるをえないのです。
炎天下での作業だったため、1時間で刈り取れる分だけ刈り取ろうということで、2人で村上春樹さんトークをしながらせっせと刈り取りました。
午前中の畑から約55キロ、午後の手刈りの畑から約5キロ…
小麦、尊いですね。
自ら「やりたい!」と志願して参加した小麦刈りでしたが、大変すぎました!
乾燥した日=炎天下=小麦刈り日和とはつゆ知らず参加してしまいました。
今年は梅雨が早く終わったから良いものの、普段はまだ梅雨の真っただ中。
そんな中で刈り取る日を見つけるのは大変そうです。
「収穫時期が、日本だとどうしても梅雨にあたってしまうので、たぶん小麦ってもともとは日本の食べ物じゃないんですよね~」という金子さんの言葉が印象的でした。
畑仕事のお手伝い記録はここまでです。
本日もおつかれさまでしたー!
●この先は、長~~~~い、ひとりごと。
今回、小麦への興味がとっても高まったタイミングだったので、ぜひ小麦の刈り取りのタイミングで呼んでくださいとお願いして、お手伝いに参加しました。
【小麦への興味箇条書き】
①世界に一軒だけのパン屋 を読んだこと
・北海道にある『満寿屋』というパン屋さんのお話。親子3世代を通じて、国産小麦100%使用を成功させた軌跡が書かれている。
・先代の病気もあり、海外産はポストハーベストがあるので、なるべく国産、特に自然栽培の小麦を使っていきたいという想いがあった。
・今は国産小麦を使ったパン屋さんも多くあるが、品種改良した小麦が安定するまでは、国産小麦はものすごく大変だった。『満寿屋』の先代の社長さんが、作ったら全量買い取るから作ってくれと北海道の農家さんにお願いして回った。他の人にも栽培方法を普及しようと活動していた。
・そもそも高温多湿でかつ歓談の差が激しい日本で小麦を作るのは大変(菌や線虫が、お米の水田であれば、水没して活動できなくなるが、小麦畑だと生き延びて悪さをしてしまう)。
・また、日本の小麦はうどん用(薄力・中力)がメインで、パンにするにはタンパク質含有量が足りないかった。
・パン用小麦が日本でも作られるようになったのは、品種改良の賜物。
・しかし、品種改良1世代目くらいの小麦は、育ちはしたものの、パンを焼いたときに、ある時は膨らむ、ある時は膨らまないなど、安定しなかった。
・品種改良が数回あり、やっと安定して作れるようになった。
・日本は高温多湿で四季があって小麦を育てるのは大変、しかし、その分日本の作物はなんでもリッチ&甘い(これは確かにわかる)。
・海外の小麦は基本品種ミックスで、「ハナマンテン」「春よ恋」のような単一品種で勝負しているのは日本だけ。
↓
・この本を読んで、国産小麦って今は結構みかけるけど、戦後の『満寿屋』の方々などの努力があっての今なのだなぁと思いました。
・『満寿屋』は、国産小麦の中でも特に自然栽培の小麦にこだわっていた。一方で、自然栽培の栽培方法ならではの手数の多さが、農家さんから敬遠される理由だった。というくだりを読み、どんな手数の多さがあるのか気になりました。
・日本の日本独自の小麦文化みたいなのがあるんだな、面白いなと思いました。
・輸入する限りはポストハーベストは仕方ないよね(ふつうに小麦を放っておくと虫わくから、気になる人は実験してみて)、と思いつつ、自分で食べるとなればできれば避けたいので、国産小麦を応援したいし、人に地球に優しい育て方をしている(無農薬・無化学肥料栽培の)農家さんの小麦はもっと応援したい。
・もっと知りたい!と思って小麦刈りに行こうと思いました。
②群馬県前橋市にある自然栽培成果食材店サンデールームさんの小麦塾に参加したこと
・小麦畑は、補助金が無いと成り立たないもの(25m×25mの畑で5万円くらい)
↓
他にもいろいろ聞いたのですが、ちょっとこの言葉がパワフルすぎて、他のことが飛んでしまいました。
以下、私の調べもの。
・1反(10a・約991㎡・約33m×33m・約300坪・約600畳・テニスコート約3.8面)の平均収量が447kg ※出典1
・小麦から得られる収入は、「JAの買い取り価格」+「補助金」らしい。
・JAの買い取り価格がなかなか公開されてなくて、JA近江が公開していたので、その資料によると、品種によって違って、令和元年農林61号1等で、24,570円/トン。 ※出典2
・補助金は、9,040円/60kg ※出典3
・ということは、1反から447kg=約450kg収穫できたとして、JA:11,056円+補助金67,800円=78,856円
1キロあたり175円(JA:25円+補助金150円)。
↓
確かに、補助金のほうが高くつくんですね。
この1反あたり78,856円、1キロあたり176円がどのくらいの手間暇に対する金額かを知りたくて、今回の小麦刈り取りに行ったわけです。
※JAに出すには、赤さび病の防除をしないといけない(一言で言えば農薬をまかないといけない)ので、自然栽培系の小麦は買い取ってもらえません。
今回小麦を刈り取った畑の面積は約600㎡なので、1反の約2/3です。
1反の平均収量:447kgから算出すれば、300㎏とれる算段ですが、実績は55kg。
でも無農薬・無化学肥料なので、単純に比較しちゃいけないんですけどね!
無農薬・無化学肥料で育てられた小麦の統計は出ていないので、九州 原農場さんのブログを参考にすると(※出典4)、、、
>中力種の小麦チクゴイズミの原農場の平均の収穫量は1反(10a(アール))あたり3俵なのですが、今年は5.5俵もありました!ですので予定していた量の倍の収穫量がありました! 昨年は1.9俵しか採れませんでしたので、天気次第でこんなにも違うのかと驚きます。
一反あたり平均3俵=180kg、ただし天候によって収穫高のふり幅は、1.9俵=114kg~5.5俵=330kgのレンジがあるということなので、LOVE LIFE FARMの面積でいえば、76㎏~220㎏のレンジですね。
●まとめのひとりごと
<小麦の栽培、特に無農薬・無化学肥料での栽培は大変>
・今回の麦刈り+麦刈りをきっかけとした調べごとで、種をまくタイミング、雑草退治、天候など、多くの要因によって、収量が左右されることがわかりました。
・無農薬・無化学肥料での栽培は、虫が発生したから殺虫剤でなんとかしようという対処療法はできないし、生育がよくないから栄養サプリをあげよう、ということもできないので、さらに種をまくタイミング、雑草退治、病気の兆候チェック/観察などは大事。
・だけど、他のいろいろな畑仕事があるなかで、すべてパーフェクトなタイミングで対応するのは不可能に近い。
・そして、麦刈りだけでもめっちゃ大変な作業。大学まで体育会系で鍛え上げた私でも、熱中症になりかけました。捨て身の刈り取り作業。
<本日刈り取った約55㎏がすべて売れて9,625円、、、安い!!!>
・今回の収穫量が、算出した平均価格で売れたとしたら、9,625円(JA:1,375円+補助金:8,250円)。収穫の日の、ひとりぶんの日給くらいかな。
・無農薬・無化学肥料栽培なので、JAには買い取ってもらえないから実際には違いますが、でも、日本の小麦の値段ってこんなに安いのね!というのが正直な感想。
<オーガニックが高いのではなくて、日本の作物が基本的に安い(政府が補助している)>
・小麦の売上金額の86%が補助金なので、消費者視点でいえば、国が食料の値段をコントロールしてるんだなぁということ。生産者視点でいえば、こんなに汗水流して働いても、このくらいの売上にしかならないかぁということ。
・「オーガニックのものは高い」と言いますが、今回の一連を通じて私が言えることは、オーガニックが高いのではなくて、通常に売られている食べ物のの金額が安い(政府が補助している)、ということ。
<プチファーマーズとして、食品の背景にある手間暇をしっかり伝えていきたいと思います>
うー--ん、この現状を知った私にできることは、汗水流して作ってくれた小麦を、ありがとうありがとうと言って、ちゃんと生産者さんの生活も成り立つ金額を払って買うことでしょうか。
お店で買うときは、消費者目線なので「高いなぁ~」って思いながら買うかもしれませんが、これだけの手間暇がかかってこの値段なんですよっていうのを、プチファーマーズとしては、しっかり伝えていかないといけないと思います。
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